音楽を使った動画配信は楽しいですね!
サラリーマンの副業でもトップスリーにはYouTuberが入っている、ということで動画配信がどんどん増えていくのでしょう。
でもちょっと待ってください!
他人が作曲や演奏した音楽には「著作権」という権利があります。YouTuberの方はご注意を!
そして店舗で流す音楽にも著作権が関わってきます。
この数十年の間はJASRACを通じて音楽を流す契約をしている店舗が大半でした。
しかし、WEBの時代になってからは、店舗で流す音楽にも著作権フリーの無料音源を使用する動きも出てきています。
今回は、そもそも「著作権」ってどんなもの?という説明と、音源の「安全な使い方」についてお伝えしていこうと思います。
結論
3つの提案をお伝えします。
- 「著作権フリー」という言葉と、取り扱いにはズレがある!
- 店舗でも流せる無料の音源はある。ただし「クレジット表記」などルールを守ること!
- USEN以外の安価なサービス「Audiostock」の紹介。
著作権ってどんなもの?
著作権フリーを語るためには、まず著作権がどういうものかを理解しておきましょう。
著作権法を参照しながら、少しかみ砕いて説明します。
次の段落の太字のところだけでもごらんください。
法律で定める著作権とは
著作権は、知的財産権の一種です。
美術・音楽・文芸・学術など、作者の思想や感情が表現された著作物が対象となる権利です。
そして、この権利は、表現された著作物ができた時点で、特に登録することなく自然に発生します。
この著作権を最初に持っているのが、創作した本人で、著作権者と言います。
著作権は「権利の束」
著作権って、分かっているようでよく分かりませんよね。
この束ですが、著作者の作品に対する「想い」を守る『著作者人格権』と、
著作者の財産を守る『著作権(財産権)』というカテゴリーに分かれています。
著作者人格権
著作者人格権の方がシンプルで、3種類です。
ただし、非常に強力な権利です。
✅公表権(いつ公表するかを決める権利)
✅同一性保持権(自分の意に反して無断で「改変」(変更・切除等))させない権利
✅氏名表示権(実名やペンネームを表示するかしないか決める権利)
特に、この「同一性保持権」と「氏名表示権」というのは強力です。
氏名表示権は、「YouTubeにアップロードする際には、サイト名を明記してください」等を主張可能です。宣伝にもなりますね。
同一性保持権は、「途中で音楽をカットしたり、スピードを変えたり、変調させないでください」という、作品の取り扱いについて、どこまで許せるかを主張できる権利です。
利用者としては、この同一性保持権で音楽の利用にどのような制限が課されているのかを確認しておかなければなりません。
著作権(財産権)
次に、著作権(財産権)です。
これは本当にたくさんの種類があるのですが、例えば、
✅複製権(無断で複製されない権利:著作権がcopyrightと言われるのはこの権利のため)
✅譲渡権(無断で譲渡されない権利:海賊版DVDの販売をストップできる
✅二次著作物の創作権(や二次著作物の利用権)」
といったところです。
著作物が、著作権者の思いもよらない流通のされ方をするのを制限できます。
一方、「流通を許してあげるから、権利を含めて楽曲を(イラストを)●●万円で買ってください」ということもできます。
つまり、著作権(財産権)はお金でもらったりあげたりできるんです。
一方、著作者人格権は取引できません。
ですから、「勝手にメロディや歌詞を変えたり切り取ったりするな!」
という主張をされる可能性がいつまでも残ります。
著作権が「想い」の権利である、という理由ですね。
守るのは大変
どうですか?とても強力な権利だと思いますか?
でもね。登録しなくても発生するということは、「この音楽は、僕が作ったものです!」ってことを、他人に説明し続けなければならない宿命を負ってもいるんです。
そして、マネされやすいし、そのまま使われやすい。
デッドコピーというやつですね。
特にWEBの発達した現代では、音源をコピペされるのは一瞬。
だからこそ大切に守るし、守るためには法律を知ってルールを示すわけです。
これは、「世の中に知られていないあなたの著作権を守るのは、著作権者のあなたの責任ですよ。」という自己責任の精神です。
それはそうです。
登記された土地や建物ならともかく、誰からも知られていない著作物なのですから、自分で「これは僕のです。勝手に使わないでください」って言わなければなりません。
訴えないと罪を問えない
そして、著作権を侵害(パクられたり、TwitterやYouTubeで勝手に使われたり、歌ってみたをされたり)されても、著作権者自身が「侵害されています」と国に主張しなければ、罪に問うことができません。
これを親告罪(しんこくざい)といいます。
バランスがとれている
知らないうちに発生した著作権なのですから、著作権者自身が自分の権利を守るという権利者意識をもって、キチンと守ることが必要なのですね。
そういう意味では、「権利」と「責任」のバランスがとれている、ということになります。
「フリー」という言葉が独り歩き
著作権がどんなものかは先ほど述べました。
最近始めたSNS生活での感想ですが、どうも「フリー」という言葉が独り歩きしているように思えてなりません。
多分、「著作権 フリー 画像」とGooGleで検索して、それをコピペしている方が多いのかなと推測しました。
本当なら、とてもマズイと思います。
交通ルールを無視して運転をするようなものです。
気が付いたら警察や権利者から声を掛けられます。
動画配信やSNSは凄いことに
僕が動画配信やSNSを見ていて思ったのが、
著作権って、息を吸うように侵害されている(推測)
ということです。
例を挙げます。といっても著作権者との間でO.K.がもらえているのなら、問題ないということでご理解くださいね。
✅漫画の1ページを貼ってつぶやいたり、ブログにアップ。
✅有名な作曲家の歌をYouTubeにアップして広告収入ってJASRACから何も言われないの?
✅フリー素材を組み合わせて自分のテンプレにして有料で配布って大丈夫か?
✅元ネタの「ですます」や「主語」だけを変更したり、話す順番を少し変えたり、構成を変えずに自分の感想を少し追加したりするだけのコンテンツがある。似たような事例があり、学術論文の世界では盗用というし、引用にも該当しないということで、大問題になっている。
等々、SNSに身を置くと、知的財産の専門家としては心に刺さるものがあります。
これをやって儲かったっていう人は、儲ける前にちゃんと権利者を大切にしてあげてほしいです。
音源の紹介:無料でクレジット標記不要
以下では、代表的な2つのサイトの紹介を行っていきます。
それと、規約(コンテンツの利用ルール)がどのようになっているのか、参考までに解説します。
いかに著作権の取り扱いについて、権利者がセンシティブに(大事に)考えているのか、ご理解いただければと思います。
店舗でもYouTubeでも使えます
以下のサイトを紹介した理由は、「クレジット標記不要」という要件があるからです。
これ、特に店舗で音楽を流すためには重要で、クレジット標記必須ということであれば
「ただいまから流す曲は、●●さんが作曲したものです」
という宣言をわざわざしなければならず、お店の雰囲気が破壊されます。
冗談だと思いますか?いえいえ、真面目にそんなことをやらなければならないのです・・・
騒音の無い世界
騒音のない世界というサイトがあります。
”ひとりインストバンド「騒音のない世界」の音楽活動について発信しています”
と紹介されています。
「やってはいけない行為」が明確で以下の3点くらいを理解しておきましょう。
✅楽曲そのものや、楽曲をメインコンテンツとするコンテンツの配信や配布等
✅ 著作者に帰属するあらゆる権利を放棄しません。
✅楽曲を自分の作品と偽る行為や、楽曲を販売する行為、本規約を逸脱する行為などはご遠慮ください。
甘茶の音楽工房
次は甘茶の音楽工房についてです。
※リンク切れを起こしたため、いったんURLの貼り付けをストップしました。
「利用規約」は先ほどの「騒音のない世界」よりも多くの条件が課されています。
というよりも、楽曲の使用に際してのトラブルを解決するためのお約束ばかりで、非常に親切設計です。YouTubeへの動画投稿の注意点もありました。
✅著作権は放棄していない
✅作曲者を偽る行為は禁止
✅楽曲を使用した作品をJASRACなど著作権管理団体に登録するのはダメ
✅音楽だけを販売するのは禁止
✅音楽の二次配布は禁止
✅YouTubeでの動画投稿時には「YouTubeのコンテンツIDに登録しない」
その他の音源サイト( 無料でクレジット標記不要 )
いくつか列挙していきます。基本的には無料で商用使用が可能ですが、「騒音のない世界」や「甘茶の音楽工房」と同じように、規約をしっかり読んで、ルールを守って利用してください。
■SHW
■DOVA-SYNDROME ※ YouTubeでの動画投稿時には「YouTubeのコンテンツIDに登録しない」 との約束あり。
探せばけっこうありますね。
使用条件を一覧表にまとめておけば、何に使えるのかが分かりやすいかとも思いましたが、条件を眺めてみると、気を付けるべき条件は大体共通しています。
YouTubeへの動画投稿で注意すること
各サイトを見比べてみて気を付けるべきことが明確になりました。
それはYouTubeでの動画投稿時には「YouTubeのコンテンツIDに登録しない」
ということです。
これを一人のYouTuberがやってしまうと、他の方がYouTubeに楽曲を組み込んだ動画をアップできなくなります。
皆さんも、気を付けてください。
USENより安い店舗BGMサービスの紹介
「そんなこと言われたって店をやりながら著作権のルールをいちいち確認なんでできないよ!」という皆さんもおられます。
そういう方々のために、「有線放送」以外の選択肢として、Audiostockを紹介します。
Audiostockとは
有線放送のように専用機材の導入や工事が不要の新世代サービスです。
必要なのはスピーカー、Wi-Fi、端末(iPhone/iPad/PC)のみですので、ネット環境さえあればサクサク導入できるのがありがたいです。
メリット
有線放送と比較して主だったメリットを挙げます。
- 月額1,480円(税抜)。有線放送の半額以下。
- 初期費用0円。有線放送は30,000円かかる。
- 国内最大級の商用音源プラットフォーム「Audiostock」の14万曲から専属音楽プロデューサーが厳選、お店の雰囲気に合った楽曲が見つかる。
- 1か月の無料トライアル期間あり。
Youtubeや一般音楽配信サービスの利用は違法行為であり、 JASRACによる摘発がすすんでいます。
Audiostockならこの点をクリアしており、安心して店舗で音楽を流せるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
著作権というのは「よく分からない!」という印象が強く、調べようとしても法律用語がややこしくて、「気にしない!えいやっ!」で進めている方も多いと思います。
ですが、全日本人が副業で稼ぐという時代において、知らないから調べない、知らないから無視するというのは、もう通用しません。
とはいえ、見るべきポイントはシンプルですから、このブログを見た皆さんは、「相手の著作権を大切にする」ことが「自分の著作権を大切にしてもらう」ことになると思って、ビジネスに生かしてくださいね!
本日は以上です。ありがとうございました。
参考:自己紹介はこちら
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